2007年 01月 25日
とりあえずR30(呼び捨て)ムカツク。 彼のこのエントリについて何がどの程度ムカツクか、書こうと思ってたら、びっくりするほどまとまらなくて、もういいや面倒くさいまとまらないまま書き散らす。 テレビには、スポンサーと視聴者という2つの顧客がある。車輪の両輪みたいなものだ。 CMの理念から言えば、視聴者の利益というのはスポンサーの利益となるべきであるので 通常というか理想ではこの2つは同じ方向で回転している。 ・・・その時は別に問題ない。 しかしながら、スポンサーと視聴者が反対方向を向くときがある。当然困る。 まぁ困ってる実情ばかりはたくさんここにも書いた気がするけど、実はテレビ局はある程度この問題に対応するため、体制を組んでいる。 制作報道と営業を分けていることだ。 そんなの普通じゃんと思う無かれ。 大抵の局では制作報道と、営業部門では、それこそ別会社のように空気が違うのだ。 制作報道は・・・まぁ職人さんの集団だね。 R30(呼び捨て)が言うところの >善意の固まりの真面目な「職人」 が多い。 報道も制作も、現場では実はあんまりスポンサーのこととか考えなくていい。 そういうことは、制作ならプロデューサー、報道ならばデスクが把握しておけばいいことで、 現場は自分の職務に忠実に、報道ならば社会正義の追求に、制作ならば面白いものを作っておけばいい。 翻って営業は・・・・これは解説せずともどこの会社でも一緒だね。 前年比!とかノルマ達成!とか、そんな世界。 報道のことを営業は嫌うのが常。 報道というのは視聴率にはこだわらない。(最近はそうでもないけど)ので、商品価値は低い。 もちろんそのブランド力は勘案しなければならないが、その維持に莫大な経費がかかっているので、コストパフォーマンスは相当悪い。正直な話、報道部門だけ見て黒字を出している局なんて絶対にない。視聴者サービスとして捉えた時、報道の効率の悪さは異常だ。 しかし報道は、そんなことを考えることも無く、自分たち営業が稼いだ金を、湯水のように使いやがる・・・!という訳。 逆に営業は報道から嫌われている。 電波という社会資本を使っておきながら、果たすべき社会使命を忘れ、金儲けにいそしんでいるからだ。 マスメディアたるもの第一に、まず報道機関たる矜持と誇りを示す必要があるのだ。 それなのに、なんか問題のあるスポンサーばかり捕まえてきやがって、報道の脚を引っ張ってるんじゃない・・・!っていう訳。 ちなみに営業持込のネタを報道部が蹴るのは、カッコイイこととされている。 (お前のところの会社だけだ!って言われそうだけど、うちだけじゃないはずだ。) まぁ、両方正しい。そして、このように対立してこそ、スポンサーと視聴者の両方の顧客にサービスを継続することが出来る。 報道が金のことが頭にチラついたりとかして、社会正義の追求に必要な青臭さを失ってはならないし、 逆に営業が、あまりに報道寄りになったらスポンサーが軒並み姿を消してしまう。 社会のために必要な報道もあるが、無駄にスポンサーを貶める必要もないのだ。 というわけで、テレビ局では敢えて、「全社あげて経営視点からの判断」なんかを持たせない構造になっているのだ。 R30(呼び捨て)の言うような「真面目な職人さん」がいて、これとは別にお金のことを考える人がいて、それで回るように出来ているのだ。 そしてこれはテレビ局だけのことなので、R30(呼び捨て)は知らずに書いたんだろうけど「真面目な職人」は、実は社長になることはほとんどない。地方テレビ局の社長は、大抵営業畑あがりからだ。 (もっと言えばキー局から営業畑あがりが出向してくるパターンが多い) 確かにR30(呼び捨て)の指摘する「選び、捨てる」行為をオールドメディア代表格のテレビ局はやっていない。 でもこれは「真面目で誠実な職人」が経営するからではなく、今の経営陣の年齢に問題があると思っている。 こっから愚痴になるけどさ、現在の50代過ぎの経営陣ってさ、テレビ局は完全に右肩あがりん時代だったせいで、「選択と集中」も何も、「全部やったらいい」しか知らないのだ。 だってそれでうまくいってたから。 それと、彼らはイノベーションを知らない。テレビがカラーになった後に入社し、以後技術革新といえばテープの媒体が変わったことや、カメラが小さくなったこと程度の、既存品と置換可能な変化しか体験していないのだ。 その間、通信業界の変化もダイアルがプッシュとISDNになった程度、通信=電話通話が変わることは無かったし。 だからこの世にネットが出来て、通信の世界が革命的に変化し、そして既存の放送の枠組みにあるものがだんだんと侵食されていることについて、理解できない。通信=電話だから。 つーか下手をすれば本業の放送分野のデジタル化にもついていけていない。残念なことに。 (携帯サイトとワンセグの区別がつかないとかね。) 業界が曲がり角になっていることは営業数字から重々承知しているものの、「だから何をやればいい」かは分からない。「既存の方法を全部試せ」というコマンドを発するしか出来ない。 だから今必要な「選び、捨てる」からはますます離れていく。 必要な才能は実はある。 R30は >自分が今やっている仕事が会社の、事業の、あるいは業界全体から見てどうして必要なのか、あるべき姿とは何なのか、そこに近づくためにはやるべきなのかやるべきでないか、やるべきとしたらどのようにした方が良いのか、といったことをきちんと筋道立てて議論できる人に、残念ながらこれまでお目にかかったことがない。 って言ってるけど、これは多分に彼の交友関係に問題があるだけで(おそらく彼は報道制作の人間しか知らない)、 営業や事務系には、このままじゃ駄目だと、先のことを考え込んでいる奴が大量にいる。 それと技術系。デジタル化を乗り切った彼らには、「今の技術で何が出来るか」データが大量にインプットされており、現状出来ていないことを、その差分からすぐに答えることが出来る。そしてそれは全て先々の可能性だ。「やれる可能性のあることは実現させたい」性分の技術人間がその可能性を探ってくれるだけでも、先々の指針になる。 このあたりの思考結果が会社的に通るようになれば、また話は違うんだろうけど。 まず、このあたりの思考が上に通るようにするシステム作りから始めるべきかなぁ思う。 間に合うかどうかは知らないけれど。 残り宿題。 ・ステルス広告とブロガーのプロ化とエキサイトのアフィ提携
by soulwarden
| 2007-01-25 02:37
| 疑問
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