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2006年 10月 06日
(10/7 読み返したらパレート最適の説明が違うので追記しました。あと途中から「足し算の将来」って書いてたけど「足し算の未来」だった。) 「シフトチェンジのある権力論」 面白い。 「足し算」「引き算」という言葉に現状のセンスは見事。 でもね、こういうキーワードを聞くと文化系・・・でなくて文科系の血が騒ぐのさ。ハイホー。 当事者たる「テレビ局員」でなくて、中立で議論に加わりたくなる。 だから疑問点を羅列する。essaさん、お暇があったら議論に付き合ってください。 1、「シフトチェンジ」後の世界が自然法に沿っているか、現時点でどうやって演算するのか? >本当に問題なのは、YouTubeが提示している「足し算の未来」が、「自然法」や「一般意思」に添っているかどうかである。 本当に問題。 現在の時点(脱法行為中)において、その将来が「自然法」に沿っているか、誰がどのように演算し、担保するのだろうか? 最初の目算と現実はずれるものだし、提示している「将来」がその通り現実になる可能性はどのくらいなのだろうか? また当事者がシフトチェンジをせずに脱法行為を続けることを選択する場合も考えられる。その当事者がシフトチェンジをし、「足し算の世界を選ぶ」ことは誰が保障するのか? こればかりはやってみないとわからない足し算であり、その将来は想像するだけでしかない。 そしてそれは正しい姿なのだろうか? 2、シフトチェンジ前の脱法行為中に権利侵害された人は、「足し算の世界」後に救済されうるのか? 厚生経済学の範疇にパレート最適という概念がある。 「パイを分ける時に、誰かの効用を減らさずして参加者全員がこれ以上福利を上昇できない」状態のことだ。 クリスマスパーティーのプレゼント交換で、みんなが「自分の持っているもので一番満足か、誰かと交換すればもっといいものが手に入るけど、交換してくれる相手がいない」状態になったようなものだと思ってもらって構わない。(太字箇所追記。) 「僕のプレゼントはぬいぐるみか。Aさんが引き当てたipodが欲しかったけど、きっと交換してくれないだろうなぁ。あ、Bさんが僕にマツケンサンバDVDとぬいぐるみを交換しようって言ってるけど、それは絶対に嫌だ。でも他に交換してくれる人もいないみたいでBさんかわいそう。」 みたいな。 この正義の理論は、(マツケンサンバDVDで泣き入ってるBさんとホクホクのAさんのipodと言うように)公平さには問題が残るものの「誰かをへこまさない限り、これ以上福利が改善されない」ことだけは保障する。 ところで「足し算の未来」はパレートしてるのであろうか? 権利侵害された者が、「足し算の世界後」に受け取る福利量がかえって増加するならば何の問題もない。 しかし、権利侵害された者と、足し算の世界後に恩恵を受ける者とが一致しない場合の方が多いと考えられる。 パレートを考えなければ、みんなの福利の合計を改善させるのは簡単だ。 今のクリスマスパーティーの例で言うと、ipod当たったAさんからipodを奪い取って現金化し、みんなで焼肉でも食べに行けばよい。(無理矢理足し算の将来につなげるのなら、その金で株を買ってみんなで分けるとかでもいいけど。) Aさんは激しく落ち込むが、みんなのプラスになった福利を合計したら、Aさんのマイナス分よりも大きい。つまり合計収支はプラスだ。(読まなくて結構な超細かい補足。金額的なもので言えば収支はゼロになるが、福利合計は個人の性向の順列のみであらわされるという新厚生経済学の約束がある。ここではみんなの順列が焼肉>>>>>越えられない壁>>>>>ipodなことを想定してみる。) でもそれはやっていいことだろうか?essa氏がいうところの「自然法」はこれを許容するだろうか? 許容しないならば通常は禁止、最低限でも補償をしなければならない。 つまり足し算の世界の中で「自分は権利侵害されっぱなし、何の恩恵も受けていない」と独りだけ引き算の世界に取り残された者に、足し算により福利を増大させた社会はその福利の一部を用いて補償を出す必要がある。 しかしその補償は本当に正当なものであるのだろうか?権利侵害を受けたものが、保護産業やなんかでこれまで不当に高い利益を得ていたかもしれないのに。(クリスマスパーティの例で言うと、プレゼントは3000円以内とかあらかじめ決まっていたのにipodが混ざってた・・・とかだったら?) そしてそもそもの話。「足し算の未来」において、脱法行為中に必然的に生まれるAさんのような「引き算」の世界に捨て置かれる者を生み出していいのだろうか? と、疑問点を2点挙げてから、ここでやっと本題に入る。 essa氏の主張する「足し算の未来」を担保するべき自然法は存在するのか? ・・・これは存在しないと思う。 自然法的規範といわれてまず思いつくものは「殺すべからず」「盗むべからず」だ。 革命を望み「足し算の未来」にむけて権利侵害をかける者は、この時点でまず自然法に反してしまう。 「盗むべからず」を一時的に犯してまで達成すべきより高次な自然法など存在するのであろうか?いや、そんなものはない。 「盗むべからず」に反しないように、つまり誰の福利も減少させないように粛々とパレートをすればいいのだろうけど、それは一般的な市場が役割を担っている。これは「革命」ではありえない。 つまり、このessa氏の議論の背骨、「足し算の未来」の論拠になるべきものは「自然法」ではない。 では何か? 「功利主義」だ。(功利主義は「最大多数の最大幸福」を追求すること) シフトチェンジ前の脱法行為を帳消しにするのは、「それを差し引いても、将来的には社会的にそちらのほうが全体の福利合計が高い」の1点だけなのだ。要はessa氏はガチの功利主義者なのだ。 いや別に功利主義が悪いといっているのではない。人類の成長源だ。 ただし、功利主義であるからには「足し算の未来」が失敗し、社会にマイナスサムとなることなど許容できるものではないはずだ。 将来に夢を見せてくれるから脱法行為が許されているだけならば、夢が現実にならないと分かった瞬間(つまり失敗と同時に)、これまでの脱法行為分をまとめて清算させられるということだろう。これ「勝てば官軍、負ければ賊軍」って発想じゃない?これはOKなのだろうか。 さらに、1であげた「誰がその未来の福利を演算するのか」という問題がある。 essa氏は「足し算の未来」として、将来の福利を期待値込みで数値化し、「こちらの方がハッピーになれる人が多い」と踏んだのだろう。じゃあ、現実にそれを担保するのは誰だ?そしていつごろからそれは演算できた? 功利主義者は、必然的に内部に規範を持ち合わせない。(功利主義者の遵法意識は、内部規範として保持し、それに従うことが自らの福利を向上させるという風に処理されるが、単純化のためにここでは無視する。ゲームの鬼と化した功利主義者想定だ。) だからipod奪われたAさんが、焼肉にも行けずその後も凹みっぱなしであることも「そっちのほうが全体の合計福利が高い」ならば、許容される。 逆にAさんのようなかわいそうな存在を許すからこの議論は成立する。でないと「初期の脱法行為」自体が認められないことになるからだ。 Aさんが足し算の将来で絶対に得をするのならともかく、なんせ未来のことは分からないのだ。 これは「足し算の未来」というキャッチーなフレーズとは裏腹に 「陥れてナンボです。」との極めてダークな印象を受けてしまう。 グダグダ書いたので取り止めがなくなってきた。 あ、一言でまとめられるな。 「脱法行為中の損害に対して、どう落とし前つけるの?」 そもそも落とし前つけるのが善かと言った話もあるし。 あと、Aさんの立場がテレビ局に置換可能だからそんな論議してるんだとか、そういう僕個人の属性に関わる話はどうでもいいから。そんな話したいんじゃないから。最近多いので念のため。 ======================================== あまりに長くなったので別に。傍論だし。 >自然法的規範といわれてまず思いつくものは「殺すべからず」「盗むべからず」だ。 >革命を望み「足し算の将来」にむけて権利侵害をかける者は、この時点でまず自然法に反してしまう。 >「盗むべからず」を一時的に犯してまで達成すべきより高次な自然法など存在するのであろうか? >そんなものはない。 と書いたが1つある。革命権?いやいやいや・・・ 実定法の「窃盗罪」の定義が自然法の「盗むべからず」に反している場合だ。 Youtubeの論議で言うと 「コピーしようがしまいがテレビ局にはデメリットがない」というケース。 無断コピーは著作権法において刑事罰の対象となるが、これが「盗むべからず」にあたるか? 「何も盗んでないじゃん!だってテレビ局は何か減った?」という主張もある一面では尤もだ。 つまり、実定法が間違っており、自然法に反していないと確信している場合には、脱法行為も正当化される余地がある。 但しこれだと正に確信犯なんだから、脱法行為をやめて合法行為にシフトチェンジするなんて温い事言ってないでフルスロットルで脱法行為を続けるべきだ。それがスジでしょ。
by soulwarden
| 2006-10-06 02:10
| 疑問
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