2019年 07月 27日
もやもやが募って、書きなぐった「天気の子」感想。 ねたばれあり。 載せるつもり無かったけど、載せる。 セカイ系といわれる作品群がある。 エヴァンゲリオンがサブカルに多大なインパクトと影響を与えた結果、ゼロ年代に「ポストエヴァ」として世に出て行った作品群だ。 人により、世界系の解釈は分かれるものの「僕と私の物語が、社会を介さずに世界につながっていく」が一応の定義とされている。 代表作としてよく名前があがるのは、 秋山瑞人「イリヤの空 UFOの夏」、高橋しん「最終兵器彼女」、そして、新海誠「ほしのこえ」である。 かの時期にどうして、セカイ系は流行ったのか。そして忘れられていったのか。 ひとつには書き手の事情というものがある。 社会を経由せずに直接「あなたと私の物語」が「世界」に連結するのは書き手が簡単である。 もうひとつは受け手の事情である。そもそもが若年層対象コンテンツであり、社会構造そのものがわずらわしい世代にとって、 「君と僕。セカイはそれだけでいい。あとの難しいことは不要」という需要があったのではなかろうか。 そりゃわずらわしいものに、読書の時間にすら介入されたくはないもんね。 そして、書き手も読者も年をとる。 1995年にエヴァの衝撃を高校1年生で受けた少年も、2019年現在には40歳になる。もはや過去の少年は社会のわずらわしさそのものである。 これゆえのジャンルとして徐々に衰退していったのではと思う。 今回の「天気の子」は押しも押されぬ「セカイ系」である。 15年たち、令和の時代のセカイ系は、どう変わったのか?わずらわしい社会はどう関わってくるのか。 今回、わずらわしい社会は、受け入れてくれない世間や、女の子を搾取しようとするスカウト、わからずやの警察という形で提示され、帆高の前に立ちふさがる。 そして帆高は社会を拒絶する。どんなに状況が悪化しても逃げ出すという形で。そして追われながらも陽菜のために走り続けるという形で。 社会側からしても、帆高は拳銃を撃ったことで、逃がしてはいけない「敵」となる。 令和のセカイ系の敵は社会そのものであり、その関係性は隔絶していないのである。 物語で帆高は「世界がどうなってもよい。」と陽菜を選び、世界はその姿を変えてしまう。 (ということは雨続きの東京では、君の名は。のあのラストシーン、瀧と三葉の感動の再会も消えてしまうか、別の形になるはずだ。) 3年後、神津島から出てきた帆高は、雨続きのことに須賀に「すみません」と謝り「思い上がるな」と一喝される。 同様に瀧のおばあちゃんにも水没した東京を「昔はもともとこうだった」と慰められる。 世界なんて、最初から狂っていたのだと。 セカイは「僕と君」だけのものではない。世界が形を変えようが、そこに生きている人が皆で構成しあり方を考えるものなのである。 これが、このセカイ系の返答として、監督が用意したものではないか。 最後に出てくるタイトル「天気の子~Weathering with you」。Weatherは動詞で使うと「困難なことを乗り越える。しのぐ。」 youはきっとあなただ。 ただし、今回の新海には言いたいことが山ほどある。 君の名は。で空前の大ヒットを飛ばした新海誠には、今回横綱昇進がかかっている。 そう、ここで当てたら長らく空席であった宮崎駿ポジションが転がりこんでくるのである。 それを・・・そのせっかくの機会にお前は何だ。。。趣味全開のものを作りやがって。。。 もっと大人になれよ少年(の心を持つ新海誠) メンタリティ「ほしのこえ」の頃のまんまやないか。いや、それが凄いんだけど。
断言するが、君の名は。ほどには興行成績伸びない。半分いけばいいんじゃない?(それでも100億だけど) 理由は主人公がアホだからだ。なのでその行動に感情移入できない。感情移入できるのはどっちかといえば警察側だ。 それは僕が社会側になったから、という理由だけではないはずだ。
by soulwarden
| 2019-07-27 23:09
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