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ニセモノの良心

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2012年 12月 30日

バナナ学園純情乙女組解散公演について思う。

まずはリハビリなんで、芝居のレビューでも書く。
つか1年半の間、書きたいことは山のようにあったけど、だいたい風化しちゃったんで。今さらフジテレビネタとか、どうでもいいでしょ。もうデモもやってないし。つかフジテレビの国旗引きずりおろしておいて、憂国もくそもないよな。どっちかと言うと革命勢力のやることじゃん。


なので、ここは本物の革命児について書こうと思う。その名も二階堂瞳子。劇団バナナ学園純情乙女組主宰・演出。多分、天才。

手掛ける芝居自体はカオスそのもの。
舞台上を高校制服やスクール水着きた男女や未亡人や初音ミクがAKBの曲で踊り狂う中、客席目掛けて御釈迦様だってキレるぞって量の水、増えるワカメ、ネギ、豆腐、素麺、生理用品、遊戯王のカード、果ては脱ぎ捨てた服や役者本体までが投げ込まれていく。そんな中、ゆかりご飯が体操着の少女とメイドさんによって振る舞われ、空中ではコンドーム風船が飛び交う中でネットで吊るされた役者が手を振る。
三谷幸喜がネタにされ、工事現場の誘導棒でスターウォーズごっこが展開され、コナンとジェイソンがダンスして「真実はいつもひとつ」ささやいて、全共闘カップルがフォークソングに乗って修羅場迎えてる。


…文章で想像つく?なんかネタバレしてるんだけど、全くネタバレにならない感満載。


00〜10年代サブカルチャーをこれでもかと突っ込み、再解釈し、そして叩きつけるように吐き出す。1秒間当たりの情報が余りにも膨大なため、一見、咀嚼途中で吐き出したようにも見えるけど、その実、主宰の手によって綿密に制御され、計算されている。しかも役者のダンスやバレエ等、イチイチレベル高い。観客が処理出来ないからと言って、手は抜いてない。
明らかに本流の芝居からは外れてはいる異端児ではあるものの、芝居自体が長らく抱えている行き詰まり感を一撃で払拭するエネルギーに満ち溢れてる。



以前観たときにちょっとツイッターに書いたのだけど、彼女達の劇団は、言葉は悪いけど「媚びている」。
お客さんのことが大好きで、徹底的にお客さんのことを考え、喜んでもらおうとしたあげくが、真冬に水をかけ豆腐をぶつけるという暴力的な…というか、よく分からない愛情表現になっているのだと思う。(実際豆腐の角って頭に当たったらとても痛いよ。)
だからその愛情表現を受け今度はこちらが手を伸ばす番となり…そして、その場面もちゃんと設定されてある。全て天才二階堂瞳子の掌の上という。



ただ、ワカメぶつけるという愛情表現って最初は目新しいけど、それは実行した瞬間に既に古い表現となる。芝居が持つ閉塞感を打ち破るようにも見えたバナナ学園が、今度はその手法により行き詰まりの原因となるのだ。壁の先の壁が近いというか。




前々回の芝居でお客さんとの距離をはかり間違えてトラブルになってたが、表現方法の模索というか行き詰まりは、もうすぐそこにあったのかもしれない。

今回の公演が解散公演なのだけど、そういう行き詰まりを、二階堂瞳子主宰が気づいていない訳もなく、どっちみちこの路線自体を捨て去っていたのかもしれない。なので今回の解散は彼女が前に進むのに、逆にいいタイミングかもしれない。


ただ、未見の方にとっては、色々衝撃過ぎる舞台であることには違いない。

あと3ステージ。時間がある人は王子に行ってるたらいいと思います。

by soulwarden | 2012-12-30 19:00


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