ニセモノの良心

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2007年 08月 05日

日本のお米が食べられなくなる日が近づいているのかもしれません

少し考えるところがあって、知り合いの普及指導員に連絡してみた。


僕「おひさ。」
普及指導員(以下、普)「久しぶり。連絡くれるの卒業以来?」
僕「そうだね。つか職場近いんだからさ、もっと積極的に連絡とりあってもいいと思う。」
普「考えとく。何?」
僕「いや、いきなりで申し訳ないんだけど、このへんの稲作農業ってどんな感じ?」
普「どんな感じっていわれても。」
僕「ごめん。言い方を変える。あと何年持つ?」
普「それは産業という意味で?」
僕「もちろん。」
普「・・・このまま行くと、あと2~3年じゃないのかなぁ。」
僕「そこまで切羽詰ってるんだ。」
普「うん。70・80代のおじいちゃんが年金つぎ込んでやってるのが主戦力だもん。」
僕「じゃあ、2、3年後には」
普「自家消費分しか作らない兼業農家しか残らなくなると思う。まぁ、おじいちゃんの寿命と体力次第だけど。」
僕「いま、1町歩あたりの収入ってどのくらい?」
普「それは、利益という意味で?」
僕「いや、売上で構わないよ。」
普「1町あたりで120万円からうまくいって150万円くらいかな。」
僕「例えば産業として成り立たせるには、脱サラしたお父さんが始められるという意味じゃあ売上で500万円程度は必要だよね。ということは」
普「4町歩は必要だよ。国の担い手制度もそこを「おおむね4町歩以上」を対象に補助を出してるし。でも、それだけの大農家って中々いない。普通1町歩持ってたら、かなりの農家だし。」
僕「ってことは、1町歩持ってる普通の農家の売上は」
普「畑を作っても200万円ないだろうね。」
僕「まじで。脱サラできないじゃん!」
普「うん。脱サラで稲作って言うのはやめなさい。ってとめている。」
僕「ショックだ。で、その200万円の売上の中から肥料代や機械代や種苗代を出すわけだよね。」
普「でね、コンバインが300万円。田植え機が300万円。これが10年持たないんだよね。」
僕「10年使って60万。」
普「代掻き用の耕運機もいるよ。年間の償却が合計80万円くらいになるかな。」
僕「あと種苗代と肥料代と燃料代か。」
普「手元には100万円も残らないね。」
僕「どうするの?」
普「年金。」
僕「まじで。」
普「コンバインとかを地域購入するという手もあるよ。酷使しちゃうから耐用年数減っちゃうけど。でも、男って全部自前で揃えようとするんだよね。」
僕「まぁ気持ちは分かる。」
普「肥料代も高いし。」
僕「肥料会社がボってるの?」
普「いいえ。もう農家のおじいちゃんが、夏の熱い中に穂肥えの追肥とか出来ない身体になっているの。だから1番最初に肥料あげたら、それですむような高性能の肥料を使ってるから。」
僕「え、どういうこと?最初に全部肥料あげたら稲が痛むんじゃないの?」
普「よくわからないけど、肥料内の成分がカプセルになっていて、その時期時期で必要な肥料の成分が1年かけて出てくるイメージで。」
僕「すげー。高性能じゃん。」
普「けど高い。」
僕「まぁ仕方ない話なんだよね。農薬も高い?」
普「高い。残留農薬とかのハードルが高いので、どうしても高くなる。でも日本の農薬って本当に後には残らなくなってるよ。」
僕「消費者が求めたから?」
普「それもあるだろうね。」
僕「じゃあ、もう2、3年後にはお米食べられないかもしれないんだね。」
普「まぁ、地域差があるから。でもどこの地域も傷んでいるよ。あとは、その地域が音をあげるかどうか。」
僕「っていうのは?」
普「いま、集落自体が保たなくなってる。」
僕「人がいないから?」
普「うん。田畑って、作らなければ山に還っていくの。」
僕「そうだよね。」
普「で、その地域が、ご先祖様から引き継いだ土地をどうするか?この瀬戸際。」
僕「赤字でもいいから作物を作って土地を守るか・・・」
普「山に返すかの選択だね。で、山に返すのだったら、集落自体を畳む方向になる。」
僕「・・・」
普「よく、災害時に「1世帯1名に避難勧告」ってニュースが出たりするじゃん。あれは、もうその集落におばあちゃん独りで住んでるって事だよ。おばあちゃんが死んだら、その集落は終わり。」
僕「もちろん田畑も」
普「うん。田畑って、土地がどのくらい富んでいるかとか病気はつきやすいかとか、作っている人じゃないと実際に分からないから、人がいなくなれば土地の使い方も分からなくなる。」
僕「壮大な撤退戦の最中じゃないか。」
普「うん。正直、インフラも保たないし、こうやって集落が消えていく過程の今が一番辛いと思うよ。」
僕「どうするの?」
普「どうにもならないよ。人が定住してくれたら一番だけど。」
僕「他の解決策はないの?」
普「いまやっているのは、その地域を農業法人化するという試み。」
僕「集約するって事?」
普「うん。でも、日本の畑って飛び地になっているからあんまり集約に関しては効果がないかも。まぁしないよりはしたほうがいいけど。」
僕「飛び地になっているって言うのは、農地改革のせい?」
普「それもある。小作の人が手に入れた土地に家建てたり売ったりしたからね。田んぼ同士が隣接していない。でも、原因はそれだけじゃないし。」
僕「稲って元々集約しやすい作物なの?」
普「うん。」
僕「畦は?」
普「その場合壊してくっつけるね。」
僕「棚田は?」
普「・・・ちょっとだけ広い棚田になる。」
僕「それは意味あるの?」
普「あんまりない。」
僕「じゃあ、何のために農業法人作るの?」
普「個人個人じゃあ無理だから、地域一丸で田畑を守ろうって発想。」
僕「どういうこと?年寄り集めても一緒じゃないの?」
普「いや、農業がやりたいって若い人とか、探せば実は結構いるの。でも、その人達が入っていく隙間がない。田舎だから。」
僕「うん。」
普「だから、地域単位で農業法人を立ち上げて、耕作する権限を法人に持たせれば、例えばそういう人も入って来やすいよね。その法人で雇うなりすればいいんだから。」
僕「あ、そっか。集約かかっていないと個人交渉になるのか。」
普「そう。その地域で農業やりたい人がいても、裏のおじいちゃん家で交渉して1反借りて、隣のおばあちゃん家で交渉して5畝借りて、とか正直無理な作業。だから、農業法人に集約してしまえば、働ける人ややりたい人の力で、その地域を守ることが出来るの。」
僕「うまくいってる?」
普「いってない。おじいちゃんとか、自分の田畑に利用権を設定されることに強烈なアレルギーがある。」
僕「わかる。農地改革だ。」
普「そう。あの時土地を取られたって思いがあるから、また取られるんじゃないかって警戒して、なかなか前に進まないの。」
僕「なるほど。まぁでもいい試みな気がする。でも農業法人化しても、水田自体の生産量というか労働対価の単位は上がらないよね?」
普「集約すれば多少はよくなるかもね。まぁでも、いきなり倍になるわけじゃないよ。ただ、4町歩集めたら国の農業の担い手認定が受けられるから、補助金が下りるようになる。」
僕「あ、なるほどね。」
普「その代わり、1反以下とかの自家消費分しか出さない農家には補助金が出なくなる。」
僕「まぁそりゃ当然だね。それやったらそれこそバラ撒きじゃん。」
普「まぁね。」
僕「ところで輸出ってどうなの?ロッドは限界があるけど、収益はよくなるんじゃない?」
普「うん。日本の米のうまさとか安全性とか、よぽど中国人のほうが良く知っている気がするよ。それに対して金出そうととするし。JAに降ろしたら単価12000円だけど、中国だったら70000円以上の値段がついたりするよ。」
僕「まじ?でも、だからといって産業構造が変化するほどは・・・」
普「そりゃ無理。一部の農家が助かるだけ。でもそれで充分だと思う。」
僕「しかし、なんで、そんないいものを、日本人は安く食べようととするの?」
普「わかんない。でも主食だし、ある程度は仕方ないとは思う。でもだったら米食ってせめて消費量を増やせとかは思うね。」
僕「パン食とか多い?」
普「というか、麦の自給率が低すぎるし、日本の麦は日本人の好みじゃないし。」
僕「いま麦の自給率は何%?」
普「4%だっけ。」
僕「・・・米食うべきだな。」
普「うん。日本人が1日にお茶碗一杯分余計に食べてくれれば、まだ助かるんだけどね。」
僕「ふうん。ありがと。ところであなた技術職なのに、なぜそんなに経営ベースで詳しいの?」
普「最近は事情が変わって、技術屋が技術だけやっていればいい時代は終わったんだって。」
僕「ふぅん。大変な仕事だね。ところで今度のみに行かない?」
普「日本酒ならね。」
僕「やった。あ、僕、酔ったらキス魔になるって知ってた?」
普「見たことはあるよ。近寄らんでおこうと思ったもん。」
僕「それが賢明かもしれない。だが、果たしてサシ呑みで逃げるところはあるかな?」
普「なぜそのような思いをして呑まないといけないのかまるで分からない。」

以下、ぐだぐだというか、中途半端な会話が続くので割愛。




田畑を守る=地域を守る。という意味は、田舎にいる身として凄く納得がいく。
アスファルトに住む者に実感がわくかどうかは分からないけど。

その地域を守る農業活動を、産業ベースというか、市場ベースでなんとかできるような方法があればとは思う。
地域差が大きい問題だけどね。ただ、だからってその地域の問題だと思って欲しくないところはある。これは日本の問題。


都会人の皆様も、日本米が食べられなくなってからでは遅いよ。
そしてそんな日は結構近いかも。
早めに自家消費分を分けてくれる兼業農家と仲良くなっておくほうがいいかもね。
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by soulwarden | 2007-08-05 18:24


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