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ニセモノの良心

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2006年 06月 25日

テレビ局のチャンネル数増加がもたらすもの

古の時代、とは言っても十数年くらい前までだけど、テレビ局が持っている情報出力チャンネルは電波媒体(テレビ)だけだった。
1953年だっけ、テレビという媒体がはじまってから、ずーっと民放テレビ局の持つチャンネルはテレビ1つだけだった。


 時代は移り、テレビが生まれて40年たった90年代中頃、インターネットというプチ魔物が日本にやってきた。
 インターネットが持つ意味は『情報の流通コストが極端に下がる』ことだけど、この時代のインターネットが具体的にもたらしたものは、ホームページとメールだった。
テレビ局はホームページを作り、無自覚なまま情報出力チャンネルを1つ増やした。メルマガや携帯サイトを作った局は2個も3個もチャンネルが増加した。


 そして、地上デジタル化の波がやってきた。

 デジタル放送がもたらしたものは、ハイビジョン放送だけではない。SI/EPG、データ放送(連動・非連動)、1セグ放送、1セグデータ放送(連動・非連動)、1セグSI/EPG
その気になればまだら編成を組むことで、ハイビジョン放送を2・3分割をすることも可能だ。
もちろんアナログ放送はあと5年はとまらない。

 出力チャンネルをせいぜい3つくらいしか持ってなかったテレビ局は、
地上デジタル放送開始と同時に、いきなり最大12ものチャンネルを得てしまったのだ。



 そしてさらに、キー局ではインターネットを使った番組配信も一部で行っている。
そうなると、出力チャンネルはまだ増える。




 地上デジタル放送を開始するに当たって、重要なことが1つある。
「2倍の波を出したらかといって視聴者は2倍見てくれない。」ことだ。まぁ、アナログテレビとデジタルテレビを同時にみんな見ることはありえないので当たり前だけど。

 テレビは広告媒体であり、視聴率がその販売指標となる。
 デジタル放送を開始したからといって見る人の数と行動パターンは変わらないので、視聴率は(アナログ+デジタルで)現状維持となる。
 つまり、広告収入は伸びない。


 収入が伸びないということは、支出を抑える必要がある。
 しかし、出力チャンネルは12。最低でも7個(アナログ放送・デジタル放送・データ放送非連動・SI/EPG・1セグ・1セグデータ放送非連動・1セグSI/EPG)は絶対に送出する必要がある。だって電波媒体であり「放送」だから。



 そこで、誰しも考える。
「これ、なんか統合できない?」
実はチャンネルは違えど、扱っているデータ内容はほとんど変わらなかったりする。たとえば、1セグデータ放送の報道内容は、携帯サイトの報道内容と同じで問題ないわけで。

 そして、一瞬でつまずく。
上の例、1セグデータ放送はBMLで書かれてあって、HTMLと同期をとるのが困難だ・・・
誰だよ。BMLなんて導入したのは・・・(同期が不可能ではないとは思うけど、BMLなんてマニアックな言語を誰も書けないし、そもそも仕様を持っていない)

同じように例えばSI/EPGと1セグSI/EPGでは取り扱える文字数が異なるので機械的に流用することは出来なかったり、どこかで何かが躓く。




 何より、一番問題なのは取締役とかの上層部が、出力チャンネル1つの時代に育ってきてるから、いまさら増えた別出力チャンネルに完全についていけてないことだ。
データ放送が何かさえもよく理解していない。ここで愚痴るつもりはないけれど。
 しかもデジタル化の投資でテレビ局の経営足腰って弱ってるから、金を出さない。
ハード面は(経営陣がよくわからないままに)導入されるものの、その新チャンネルに人を貼り付ける必要があるのが理解できない。なので、人とは増えない。

そして現場ではデスマーチが始まる。




はい。これが草創期までさかのぼった「僕が忙しい訳」です。


後日、これにシステム関係を当てはめていこうかなと。

by soulwarden | 2006-06-25 02:45 | 怒り


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