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2010年 04月 01日

フリーミアム戦略と共産主義について

前回の続き。続き?


前はネットと共産主義についてだらだら書いてたけど、今回はネット共産主義とフリーミアムについて。


フリーミアム戦略ってのが、流行っている。



書籍「フリー」から端を発したこの戦略は、捉え方一つで際限なく対象が広がる。

一部無料(お試し)にして顧客を広げるってやり方は、デパ地下やお土産屋の味見商売に始まって、チラシにつけるおとり広告、無料粗品を餌に年寄りに布団売り付ける催眠商法、初回限定価格のディアゴスティーニ商法、考え方一つで全てが当てはまり「言ってしまえばフリーミアム」になってしまう。


ので、ここではフリーが95%、プレミアム顧客5%の、典型的フリーミアム戦略について扱うことにする。
要はmixiプレミアムみたいなやつね。あと広告のことはここでは忘れる。



 その典型的フリーミアム戦略は、ネットで…というか「情報」でしか取れない手法である。物理的にものを95%タダにしてしまっては、収支がどう考えても合わないからだ。(いや、合わないことはないけど原価いくらだよ。)
情報だとコピーしても減らないし配布コストも低いから、これまでの常識を超えた比率でサンプリングが可能になっているし、それでいて収支が合うってのがフリーミアム戦略の肝な訳で。


 このフリーミアム戦略と先に見たネット共産主義の関係について。

 言うまでもないことだが、フリーミアム戦略はバリバリの資本主義者の手法だ。(だからこそ僕は前回、関係ないと書いた)


 ただし、前回みたネット上の共産主義とフリーミアム戦略は相性抜群だ。
 それもそのはず、フリーミアム戦略は初手に「ネット上のものは全てタダ(自由財)」という現在の(一部)ネットの価値観を認めて設計しているからだ。要は、フリーミアム戦略は共産主義者にものを売るための資本主義手法だ。「この自由財は特別な財」(矛盾してるけど)だと認識させること。つまり、共産主義者に資本主義者の論理を受け入れさせる手法ということになる。

では、共産主義者がその思想を投げうってまで欲しがるプレミアムとは何であろう。そのうち誰か(若しくは自分)が同種のものを作ってくれてタダで手に入るのに。

1つには、ネットワーク外部性(バンドワゴン効果)だ。要は、みんながそれを選ぶことで、その商品の価値が向上する。同キャリア携帯同士の無料通話みたいなやつね。新たに無料の同サービスを作っても「多少便利」程度だと、ネットワーク外部性故に他の人の乗り換えを促すことが難しく、結局金出させるを得ない。(逆を言えばプレミアム部分を余りに高機能にすると乗り換えのインセンティブが働きやすいので程々にする必要がある。つまり感覚とは逆になる。)

その2。資本力が凄い場合。
開発が個人の力の生産性を越える場合。言ってしまえば共産主義の例外規定に当てはまるこの場合は、金の力で解決せざるを得ない。

その3。時間軸。
ちょい待ったら誰かが作るけど、それが待てない場合。

その4。知財。
そのサービスの根幹部分が著作権法・不正競争防止法・特許・実用新案等で保護され、同種サービスを立ち上げる障害になる場合。

その5。芯からの共産主義者じゃない場合。
日常的には資本主義の世に生きてるんだし、ネット上のものはフリーという視点は現在一部で成立してるだけで、しかも別に永続的なものじゃない。携帯電話ユーザーを中心に、情報に金を払っていいと思ってる層は少なからずいるし、少額決済が一般的になれば、今後も増加する。

その6。有形物。本家みたく最終段階でものを動かす。情報には金を出さない人も有形物には金を出す。


漏れてるだろうけど、こんなところだろうか。


つまり、フリーミアム戦略を成功させようと思ったら
1、人を山程集める。
2、個人では太刀打ち出来ないような金をかけたものを作る。
3、迅速化を図り、新サービスリリース新サービスリリースと自転車を漕ぎ続ける。
4、著作権等々を押さえ、反した奴らを血祭りにあげていく。
5、携帯向けにする。
6、物理的に何か売る。


のどれか1つ以上を満たさなくてはならない。(実際には複合になる)


うち4と5はフリーミアム戦略とは余り関係なくなっちゃうので以下では割愛。別の手法だしぬ。6は非常に興味深い手法だが、ひとまず脇に置く。(また後で取り上げる)


で、残る1〜3を眺めると、フリーミアム戦略で勝ち組にまわるには、よっぽどの資本力が必要なんじゃね?と思えてくる。



それに現実には、フリーミアム戦略プレイヤー同士の殴り合いも考慮に入れる必要がある。パイを拡大できる間は仲良く共存できるけど、日本には2億4000万の瞳しかないので、すぐに飽和が訪れ、喰い合いが始まるのだ。

競合との殴り合い潰し合いの状況だと「競合のプレミアム部分をフリーで提供する」という戦略が有効になる。値下げだと慎重になる企業も、相手にぶつける新サービスだと言えば敷居は下がる。でもフリーミアム戦略において、実はそれは同じ意味。

結局は、開発費どこまでもちますか?の、体力勝負になってしまう。

さらに、客単価の視点から見てみる。
フリーミアム戦略を客単価に換算した場合、正直笑えるような数字が出てくるだろう。(勿論広告収入等は除いて考える)
つまり、フリーミアム戦略は、ただの値下げの一形態だ。家電量販店が一律5%値引くのか20人に1人タダにするのかって選択と、実はそう変わらん。「20人に19人タダになる!」って比率の違いだけ。


話が揺れ動くのでここらで整理する。

1。フリーミアム戦略はネットの一部の共産主義を意識した資本主義の戦略である。

2。ただし、フリーミアム戦略は資本力を必要とし、また市場自体をも矮小化させる。





で、さっき脇に置いた「実際にものを動かす」という点に戻る。
これは言ってしまえば亜流のフリーミアム戦略。勝手に亜流扱いしてんだけど。


ただ実際に物流が動くと、扱う金額(売上高)は跳ね上がる。利益率はすげー下がるけど。
まぁ上がった売上と経費に、フリー部分を混ぜ込んでしまえばいいという本家も使った手法。

これは先程までとは違い資本力がそこまで必要ないので、物流さえなんとかなれば(まあアマゾンもあるし)なんとかなる、言ってみれば弱者のフリーミアム戦略と言えよう。


ただし、ものを動かしたその瞬間、フリーミアムは土産物屋の味見商法やディアゴスティーニ商法と何ら区別がつかなくなる。切込隊長の「こりゃただのチラシじゃねえかああぁぁぁ」との指摘の通りだ。




あと、ここから不勉強なんだけど、完全なフリーミアム戦略で回ってる例ってあるの?mixiやニコニコ動画は、明日から広告がなくなってもプレミアム会員だけでやっていけるの?
…ほぼ日か。あそこ、手帳販売と講演会で回してるよな。凄いよね。ただ、ほぼ日はフリーミアムというか糸井重里で回ってる気もする。
あとは…回ってるんだか何だか分からない製作委員会発の深夜アニメ?実状よく知らんが。




あと、フリーミアム戦略がそれだけで完結せず、どこかで広告に頼らざるを得ないのなら、昔にも書いたけど、自ずとGDP1%(広告市場のパイね)に収まる、規模の小さな話になってしまう。(亜流はチラシだし。)


なんか何となくWEB2.0の辿った流行り廃れと同種の趣きを感じてしまうような。





さて、着地点が見つかりませんが、そろそろ携帯更新の限界だし、今日は年度締め日で疲れたので寝る。

ではおやすみなさい。
よき新年度になりますよう。
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by soulwarden | 2010-04-01 01:14


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